2008年12月30日火曜日

「途上国では、お金を配った人が選挙で当選する」(元駐日中国大使、陳健氏)

今朝の日経一面の「次の世界」インタビューで元駐日中国大使の陳健氏が言っている。内容は常識的でまとも。一読おすすめ。

抜粋:
  1. 今回の金融危機は国際秩序に変化をもたらすが、現時点で米国が衰退したとはいえない。近い将来米国にとって代われる国はない。
  2. 米国は、科学技術や人の創造性に優れているだけでなく、世界の知力を吸収するのに長けている。ここは中国と日本とは違う。
  3. 中国の外貨準備の大部分はドル資産。米国が強大な存在であり続けるのは中国にも有利。
  4. 多党制や民主選挙などの大原則は先進国に適しているが途上国では誤りになる。きちんとした教育がなくお腹いっぱい食べられない国ではお金を配った人が選挙で当選する。西側の誤りは西側で成功したことが他国でもかならず成功すると思ったことだ。
  5. 中国は一人あたりGDPで途上国。少なくとも20−50年間、あるいは更に50年間かかって先進国になるというのが自然なプロセスだ。その前に先進国の役割を担うというのは理屈に合わない。
  6. 中国人と日本人は競争意識という心理状態から抜け出すべきだ。欧州は協調して歩んでいるように、日中も共同して東アジアの発展を主導しなければならない。

「自分に都合のいいことばっかり言って」と立腹する人はまだまだ修行が足らない。自分に都合のいいことを、如何に論理的で説得力にある形で提示できるかが、外交勝負の分かれ目。おまけにこの見方は、一見身も蓋もないみたいだけれど、正確で正しい。ご立派という他はない。

それにしても「お金で票を買う」というのは、どっかの「先進国」でもそうだな。与野党ともに「イナカ票大買収作戦」で選挙に挑もうとしている。原資は株価大暴落で困窮している都市住民が払う税金だ。あの国は途上国なのかな。

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